添田康平(Kohei Soeda)

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2026.02.06
スブラマニアム002

10代だった彼の仕事は
お父さんが経営するタバコ農園の労働者たちへ
お母さんが作ったランチを自転車で届けることだったらしい。
朝早く剛志駅へ向かう途中、自転車を押しながら
麦畑を通りかかった時にそう教えてくれた。
新鮮な緑の匂いは昔のことを思い出させたようだった。

首をカタカタと左右に動かし
顔は10代の気怠さそのまま
自転車を乗るフリをしてそう教えてくれた。
どんな速度で運んでいたのかわかったし
風景も鮮明に想像できた。
そう教えてくれた彼の表情は
穏やかだけど誇っているようにも見えた。
そんな些細な朝だった。

それから10数年経ったある日、
僕は彼の実家にいた。
昔の話を覚えているのかわからないけど
タバコ農園に僕を案内してくれた。

2014.08.12
スブラマニアム001

僕はこの数年の間、一人の男の事を考えています。その男は時々いなくなります。入管の収容所にいたり、人里離れた漬け物工場にいたり。連絡が取れなくなる度に僕は少し心配になります。 実は今も行方不明です。今回はとても遠くに居るようです。ある日、僕の家にカナダの移民局から男宛に手紙が届きました。(所在を点々としているその男は日本での所在地を僕の家の住所にしていたようです) その手紙には男が日本を出国した記録が記されていました。(そんな知らせが届くのって意味が分からないかと思いますが、その意味というか何なのか、そこの辺りをこの日記では書いていこう。と 、言う事でありますのであらかじめご了承下さいませ。)

その男にはとてつもない秘密があるのだそうです。僕はその秘密を色々な手段で探ってきました。しかし男の口はカチッカチに閉ざされていました。ただ、日本を離れたら 教える事が出来ると男は言います。その男によると、とてつもない秘密で一冊の本が書けるとのだそうです。だからって事ではないのだけれど僕は男を捜しに行こうと考えています。